空色なキモチ

□ あなたはおもちゃ □

あなたはおもちゃ 6 (終)

第6話

やっぱりあなたはおもちゃ!




 その後聞かされた事実。

 るーはわたしが拾った猫だという。学校帰りに泣きながら飼える人を探していたわたしを見つけたのがこの男。当時十歳だったという。
 と、いうことはわたしが八歳くらいの時のこと。全く記憶にない……十年以上も前の事なんか覚えてないし!
 まだ産まれたばかりの仔猫だったるーは泣き声も小さく、そのままほっといたらすぐに死んでしまうだろうと思ったと懐かしそうに話す。

「ゆーちゃんの名前も聞いたし、僕の名前も名乗ってうちの住所も教えた。いつでも遊びに来ていいよって。それなのに一度も連絡してくれなかったよね」
「……記憶にない。それ本当にわたし?」
「これ、うちの送迎の運転手が携帯で撮った画像。ちょっとピンボケっているけど、ゆーちゃんだよ」

 見せられたスマホには昔のわたしの姿が写っていた。
 向かい合わせで立っているのがたぶん光太郎さんなんだろう。わたしから何かを受け取っているところを少し離れた場所で横から撮影されたものだった。

「ずっと待ってたのに。全然連絡もくれなかったよね」

 ぶうっとふくれて光太郎さんが横向きから仰向けになった。
 だって記憶がないのに連絡なんてしようがない。
 そしてるーの本名は『ルナ』だと聞かされた。ルナを訳すと『月』つまりわたしの名前からつけたそうだ。

 そして、この人がいろんな人にちやほやされている理由。
 目の前に差し出された箱には『タロットカード』と書かれていた。

「僕の占い、すごく当たるって評判なんだ。で、思ったことをアドバイスしているだけなんだけどそれがいい方向に行くみたいで、結構いろんな子の恋愛相談に乗ってあげたりしてるの。別に商売じゃないんだけど、予約が入ってたりするわけ。タロットにもね、僕とゆーちゃんの相性すごくいいって出てるんだ」
「はあ……」
「末永くヨロシクね」

 腕枕の状態でぎゅーっと抱き寄せられる。
 光太郎さんの匂い、何となく落ち着くかもって思った。

「お風呂で汗流そうか。さっきの桧の香りよかったでしょ? もう一度一緒に入ろう」
「桧じゃないのがいい。今日はジャスミン」
「えっ……?」
「ジャスミンがいい」

 うーっと唇を噛みしめて唸り声を上げる光太郎さんがかわいく感じてしまった。
 ああ、わたしはいつの間にこの人に魅せられてしまっていたのだろうか。
 だけど悔しいから、しばらくは黙っていようと思う。


**


 翌日。
 
「黛くん……あの」

 おどおどした感じで声をかけてきたのは服部先輩だった。

「なに?」
「あ、はい! あの……」
「ゆーちゃんに免じて許してあげる。二度と彼女に近づかないで」
「はいっ! 黛くんの彼女だって知らなくてっ……立場を弁えずすみませんでしたっ」

 逃げるように去って行く服部先輩の背中を呆然として見送った。
 そんなわたしの手を引く光太郎さんが勝ち誇った笑みを向けた。

 この人は、黛メディカルシステムズの実権を握っているのだ。
 社長である義父も口出しできないくらいの権限を光太郎さんは持っている。そのことはもちろん家族のみしか知られていないこと。
 この男の一存でわたしは借金のカタに黛家に買われたのだった。明らかな職権乱用だ。だけどこれからもうちの実家のフォローはしてくれると約束してくれた上で。
 一見全く頼りないオタク男なのになかなかどうして。中身はとんだ帝王だった。

「ゆーちゃん、今日のお風呂はなんにする? 一応ね、ラベンダーの香りを頼んできたんだけどー」
「バニラがいい」
「うっ! そう来たかっ! もしもしっ、光太郎だけどラベンダー中止! バニラの香りに変更しておいてっ」

 慌ててメイドさんに変更の電話をかける光太郎さんを見て、隠れて笑ってしまう。
 甘い香りのバスタブの中で、イチャイチャするのも悪くないかもしれない。

 そしてもちろん、お仕置き返しをするんだから。覚悟してなさいよ。
 


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Information

Date:2013/11/30
Trackback:0
Comment:2
Thema:オリジナル小説
Janre:小説・文学

Comment

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ちょっと!何この可愛らしいカップルは!すっごい可愛くってニマニマしながら読んじゃったよー!
先輩との関係もそうだったんだーってちょっと笑っちゃったよ~。
気分のらない時もあったのに、参加してくれて本当にありがとう!
こなつさん大好き!これからも宜しくね!\(^o^)/
2013/11/30 【仙堂莉映】 URL #- 

* 仙堂莉映さま。


 わー!感想ありがとうございます♪

 かわいらしかったですか!やったー(≧∇≦)キャー♪
 そうなのです。先輩の関係そんなことになっていたのです。
 光太郎をかわいくしたくて、優月のどSより夫のどMが際立ってしまいました。

 いえいえ!こちらこそ、楽しい企画をありがとうございました(*´∇`*)
 条件や縛りが軽かったので、気楽に参加できました!
 
 わたしも大好きですよ~~~❤
 これからもよろしくお願いします(*´ェ`*)
 (かたっくるしすぎてムズムズするけどお礼なので!!!)

 また企画立案の際にはよろしくお願いします(=´ー`)ノ 
 参加しまーす!

 こなつ。
2013/11/30 【こなつ】 URL #- 

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