空色なキモチ

□ 満月の夜に見る夢は □

満月の夜に見る夢は 第7章 第93夜 恩愛

 
 翔吾さんの実家からの帰りの車中で、今日はお互い疲れただろうし簡単に夕食を済ませて早めに床につこうと話をしていた。

 翔吾さんは運転もしていたから疲れはわたし以上だろう。
 缶ビールを一本飲んで、スッキリした表情で「そろそろ寝ようか」と声をかけてきた。時間はまだ二十一時をまわったばかりだった。

 ご両親に結婚を認められてほっとしたのだろう。
 ずっと説得してくれていたのは全部わたしのため。そう思ったら本当にうれしかった。ちゃんとお礼を伝えたかったけど「お疲れ様」というのもおかしい気がしたし、うまい言葉が見つからずそのままにしてしまった。

 
「雪乃は早く子どもがほしい?」


 ベッドに入った途端、翔吾さんがそう聞いてきた。


「え? どうして?」

「んー、今日子どもの話出たじゃない? 雪乃の気持ちはどうなのかなって確認してなかったから」


 わたしの首の下に翔吾さんの右腕が差し込まれ、自然に腕枕の状態になった。仰向けになっていた身体を左向きにすると、目の前に翔吾さんの胸。

 子どものことは、そんなに真剣に考えたことはなかった。
 一度妊娠したかもしれないって思った時も実感なかったし、本当にできてはいなかったから無理もないんだろうけど。

 それに、今日翔吾さんのご両親にわたし達の仲を認められて結婚に一歩前進した状態。まだまだ先は長いのにそこまで考えられなかった。


「翔吾さんは?」

「質問を質問で返すな」


 頭の上で笑われて、翔吾さんのかすかな吐息がくすぐったかった。


「俺はさ、正直ほしいよ。母さんも言ってたけど、俺と雪乃の子なら絶対かわいいと思うし、子どもが好きだしね。でも最初は雪乃とふたりの生活を楽しむのもありだと思ってるんだよ」

「そう、なの?」

「うん。いろんなところに旅行に行ったり……雪乃といっぱい楽しいことをしたいんだ。いろんな風景を見て、おいしいものをたくさん食べて」


 顔をあげると、翔吾さんがすごく優しい表情でニコニコしていた。
 こんな風に夢を語るのが楽しくてしょうがないって感じ。
 本当にわたしを必要としてくれて、一緒にいたいと望んでくれているのがすごく伝わってきた。

 翔吾さんの子どもをほしいとこの時本当に思った。
 この人の子どもを自分に宿せるなら、これ以上の幸せはないような気がして。きっとわたし以上に子どものことも大切にしてくれるはず。


「子ども、ほしい」


 小さな声で伝えると、翔吾さんの上半身が起き上がる。
 腕枕は自然に外され、あっという間に覆い被さられてしまった。


「泊まって行けって言われたからどうしようかと思った。今夜はどうしても雪乃がほしかったから」


 満足げに笑う翔吾さんの顔が近づいてきて、唇が奪われる。
 最初は啄ばむような口づけをされ、目を合わされた。
 ニッと勝ち誇ったような笑みを向けられ、恥ずかしくて目を伏せると今度は上唇と下唇を優しく食むように重ねられる。わざとちゅっとリップ音を立ててやっているのがわかるから余計に照れくさくて目を閉じると、唇の間から翔吾さんの舌が滑り込むように差し込まれた。


「ん……っ」


 優しくゆっくりと動く翔吾さんの舌に翻弄される。
 歯列を丁寧になぞり、上顎を撫でるようにされ最後に舌が絡められる。
 暗い部屋の中、濡れた音が妙にリアルに感じられた。


「んんぅ……むぅ」


 キスに夢中になっている間に、翔吾さんの大きな手のひらがわたしのパジャマの胸元に置かれている。片手でスムーズにボタンを外し、あっという間にブラトップの裾をたくし上げられていた。


「あっ、やだ……」

「いやなの? 身体は正直なのに」


 胸の先端をきゅっとつままれ、無意識に吐息が漏れてしまう。
 そこを指の腹で捻るようにさすられて、その刺激が意思とは裏腹に嬌声を上げさせた。


 翔吾さんの身体が徐々に下へ下がってゆく。
 胸を優しく揉みしだかれ、その徐々に硬度を増していく先を舌と唇で舐めまわされる。それだけでわたしのおなかの奥の辺りがきゅっと収縮するような感覚がした。
 下半身が疼いて、内股に力が入ってしまう。もぞもぞとしていると、翔吾さんが得意げな表情を浮かべた。
 

「下、切ないの?」

「……っ!」


 図星を指され、言葉を失っているとくつくつと笑う低い声。
 否定の意味も込めて必死で首を横に振るけど、目を細められてうなずかれた。全く信じてもらえていない様子。しょうがない、あたっているのだから。だけど認めたくはなかった。


「雪乃はいつも意地張ってるよね」


 がばり、と翔吾さんが起き上がって上半身が離れたと同時にパジャマのズボンと下着を一気に下ろされた。


「やっ! ちょっ……」


 抵抗する間もなく、両膝を掴まれ大きく開脚させられるとその間に翔吾さんの身体が割り込んできて、わたしは足を閉じられなくなってしまった。


「や! 恥ずかしいっ」

「どうして? もう何回も見ているのに。もう慣れてよ」

「無理っ! っ! やああ!」


 いきなり下半身の中心に翔吾さんの指が伸びてきた。
 すでに潤っているはずのその部分を秘裂に沿ってなぞられ全身が粟立つ。何度か上から下に指を這わされた後、襞が開かれた。その指が敏感になった突起に伸びて、円を書くようにそっと触れる。その動きに呼応するようにびく、びくと跳ねる自分の身体が恨めしい。
 
 しばらく慣らされた後、くち、くちと音を立ててわたしの中は翔吾さんの指をすんなり飲み込んだ。


「すごい濡れてる。中、熱い」

「っ、言わないでぇ」

「指、きゅうきゅう締めつけてる」

「言わないでったらあ!」


 徐々に大きくなってゆく水音がさらに羞恥を煽る。
 長い指で中をかき混ぜながらゆっくりと中の粘膜を、そして外の尖りを同時に刺激され電流が走ったように身体がびくんと反応してしまう。
 居たたまれなくて、両手で顔を覆うとその手を片手であっさりまとめられて取り払われた。


「だーめ。蕩けそうな表情を見せて」

「やっ!」


 わたしの反応を見て楽しんでいる翔吾さんを恨みがましい目で睨みつけると、再び満足そうな笑みが返って来る。
 翔吾さんの嗜虐心がふつふつと沸きあがってきているようで、抵抗を見せても簡単にあしらわれてしまう。ただただ悔しい。


「っ! いっ、意地悪っ」

「なんとでも」


 にいっと翔吾さんの口角が持ち上がる。
 その艶っぽい唇がわたしの首筋に吸いつき、ちくりと刺激を与えた。


「あっ! だめっ!」


 見えるところに刻まれたキスマーク。
 明後日から普通に仕事でそれでなくても噂好きの女だらけの職場なのに。拒絶する隙も与えてくれなかった。


「週明け、雪乃の部署の上司と俺の、両方に挨拶を兼ねて結婚の報告に行こう」

「え?」

「もう双方の親、了承済みなんだ。構わないだろう?」

「でもっ」


 それ以上の言葉を発するのは不可能だった。
 わたしが何か口を挟もうものなら、容赦なく翔吾さんの長い指が中をまさぐる。そして淫らな濡れた音をこれでもかというくらい聞かせてくるのだ。


「あっ……あーっ、もっ……」

「わかった? 口答えするならもっと……」

「わかったったらあ! んんーっ!」


 もう、指をかすめただけでも感じてしまうんじゃないかってくらいの突起をわざとそっと撫でられ、わたしの背中がのけ反ってつま先が伸びた。
 どっと全身の気だるさを感じ、脱力してしまう。呼吸の荒いのがなかなかおさまらない。


 上に圧し掛かった翔吾さんが困惑顔で笑っている。
 まるで自分は悪くないといった表情で。こんなふうになったのは全部あなたのせいなのに!
 息が切れて二の句が継げないわたしは、その思いを込めてうっすら目を開いてから眉間にシワを寄せた。すでに瞼の辺りも重い。


「ん、罪悪感に苛まれるから泣かないで」


 柔らかい舌先がわたしの瞼の外側をべろりと舐めなぞった。
 わたし、泣いていたんだ。生理的な涙が流れていたのかもしれない。だけど少しくらい罪悪感に苛まれてもいいんじゃないかって思う。

 ちゅうっと瞼に吸いつかれ、そっと両頬を撫でられる。
 少しずつ呼吸の乱れが整ってきたのに、翔吾さんはわたしの入口に熱い塊をゆるりと押しつけてきた。


「んっ! まっ……!」


 今、達したばかりで挿入されたら辛い。
 待って、と止めようとしたのにあっけなくそれは翔吾さんの唇で塞がれた。噛みつくような口づけと共に暖かい柔らかい舌が滑り込んでくる。舌先がゆるゆるとわたしの口腔内を泳ぐようにうねる。さっきのキスとは全然違う。じっくりと官能を引き出すような、徐々に高められてゆき、全身が蕩けそうなくらい心地よかった。
 
 押し当てられた彼自身が入り込む時、抵抗を感じたけどすぐにわたしの中は翔吾さんの猛りを受け入れた。内壁が擦り付けられるたびに意思とは関係なく小さく震えてしまう。電流が走ったようなような衝撃が背筋に、下腹に……そして脳まで痺れそうだった。


「あ……んっ、しょ、ごさっ、んんっ」


 下から突き上げられるたびに喘ぎ声を漏らしてしまう。それが恥ずかしくて煩いくらいだった。
 彼の首に腕をまわすと、火照った頬が擦り寄せられる。そのまま唇を一瞬だけ重ねられ、熱のこもった目で見つめられた。月の光に照らされ、まるで濃緑色を呈しているように見える。宝石のようだ。

 ぽとり、と翔吾さんの汗がわたしの鎖骨に落ちた。低くて短い唸り声をあげて、彼の腕がわたしの背にまわされる。ぐっとその腕に力がこめられてあっという間に起こされた。そのまま翔吾さんの上に載せられ、体勢が真逆になる。


「っ! うぁっ!」


 自分の体重によって結合がより深まる。下腹の奥の奥まで抉られるようだった。
 下から突き上げられてわたしはぐっと首を後ろに反らして快感を逃そうとした。喘ぐ合間に呼吸をしたいのにその間すら得ることができない。
 今度はわたしの汗が翔吾さんの上に落ちる。


「雪乃、好きに動いて」

「えっ? ええっ? できっ……っああ」


 翔吾さんの胸の上に両手を導かれた。そこに置くと、腰を掴まれ揺すられる。微妙に彼の角度が変化してわたしの弱いところをかすめた。


「ほら、こうして」

「ぁっ! むりっ!」


 その上半身に身体を委ね、彼の胸の温もりを直接感じた。規則的な心音が耳に入ってくる。それは少し早いものに感じた。
 すでにお互いの身体は汗ばんでいて、しっとりしている上に熱い。
 わたしの硬くなった胸の尖りが翔吾さんの胸に当たって擦れる。それだけでびくびくと自分の中が彼を締め付けているのがわかった。息が苦しい。


「え? もしかして、またイッちゃっ……」

「翔吾さんなんか嫌いっ!」


 その胸を手で何度も叩くと、いて、いてっと翔吾さんが笑いながらわたしの手首を掴んで自分の頬を包むようにした。
 翔吾さんの頬は燃えるように熱くて、こめかみから一筋の汗が流れ落ちる。


「雪乃、かわいい」

「怒ってるのに!?」


 ふふっとうれしそうに笑う翔吾さんの頬がわたしの手のひらの中で動く。まだ繋がったままだから下手に動けない。
 彼の胸に頬を乗せた状態で、その鼓動を再び感じる。少しずつその速度がゆっくりになっていくのがわかる。時々中で彼が大きくなるのを感じていた。


 わたしの手を取り、その手の甲に何度もキスが落とされ、くすぐったくて胸の上で笑ってしまう。その振動が今度はくすぐったかったようで彼が身をよじった。

 こんな幸せな時が来るなんて、思いもしなかった。

 自然に涙が溢れるのを感じた時、わたしの背中に腕がまわされきつく抱きしめられた。
 いきなり翔吾さんの上半身が起こしあげられ、彼の角度が変わった刺激でわたしは「あっ」と喘ぎ声を漏らしてしまう。

 対面の状態にされ、隠そうと思った涙がばっちり見られてしまった。
 一瞬目を見開いた翔吾さんが切なげに微笑む。とっても優しい瞳に吸い込まれそうだった。


「もう、二度と離さないから」


 ちゅっと頬に口づけをされ、自分の中が自然に縮まるのを感じた。翔吾さんが小さく喉元で「んっ」と声をあげる。


「万が一、雪乃が逃げても地の果てまで追いかけるから覚悟して」

「――ひゃっ!」


 そして再び体勢を逆転され、わたしが下の状態に戻される。
 そして激しく貪られ、気付いていた時には声が嗄れていたのだった。


 
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Date:2013/09/23
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Thema:オリジナル小説
Janre:小説・文学

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