空色なキモチ

□ VOICE □

VOICE 134

第134話 友達との約束

未来視点




 昨日図書館で麻美と約束をしたことを今日は実行しないといけない。

 幸い悠聖くんは用事があるから図書館には来ないとのことだった。ちょっと素っ気ない感じがしたけど助かった。問題はお兄ちゃんのほうだ。


  『今日も十九時に図書館前で待ってる』


 バイト前に来たメール。もちろんお兄ちゃんから。
 これに対して嘘をつかないといけないのが心苦しかった。早く連絡しておかないとわたしを迎えに来るために一生懸命自分の仕事を終わらようとしているに違いない。携帯で素早くメールを打って送信した。


  『今日はバイトの後、友達と約束があるから迎えはいりません。ひとりで帰ります』


 今日はお兄ちゃんに迎えに来られると困るの。
 携帯をギュッと握りしめて目を閉じ、兄を欺く決意を固めた。十九時きっかりに上がらないと約束の時間に間に合わない。早く仕事を片付けないといけない。

 ポケットの中で携帯が震えた。案の定お兄ちゃんからのメールだ。


  『友達との約束が終わったら迎えに行く。どこに何時頃行けばいいか連絡して』


 そんなのわかるわけがない。なんて答えていいかもわからない。
 わたしだって何時に終わるか知りたいもの。

 お兄ちゃんには返信しないでこのままスルーすることにした。下手に心配かけたくないから。

 こうしないと何もかもがダメになってしまう。
 そんな強迫観念だけがわたしを動かしていた。そしてお兄ちゃんにも悠聖くんにも絶対に知られてはいけないことに手を染めようとしている自分が恐ろしくて身震いするのだった。



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Date:2013/09/28
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Thema:オリジナル小説
Janre:小説・文学

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