空色なキモチ

□ VOICE □

VOICE 107

第107話 自分を責める彼女

悠聖視点




 昼休み、兄貴からメールが来た。


  『明日予定なければ家で俺の快気祝いをすることになった。
   都合大丈夫? 未来も誘ってほしいんだけど頼めるか?』


 思いも寄らない内容に開いた口が塞がらなかった。
 快気祝いって、兄貴はそういうことするタイプじゃない。自分の誕生日会を開催するのだって昔から拒絶していた。返信しつつ状況の確認をしてみる。


  『快気祝い? 僕は大丈夫だけど兄貴の提案じゃないよね? とりあえず未来に聞いてみる』


 自分の机で頬づえをついて本を読んでいる未来にメールを送信してみた。
 受信の振動にすぐ気づき、スカートのポケットから携帯を取り出している。画面を見てから未来が僕の方を見て微笑んだ。僕も笑いかけると未来は再び携帯に視線を落とした。

 そのメールを見た彼女の顔から笑顔が消え、不思議そうな表情に変化していく。
 携帯に文字を打っている彼女を僕はじっと見つめていた。

 しばらくして僕の携帯電話が震えた。


  『バイト終了後なら大丈夫だけど、わたしが行ってもいいのかな?
   お兄ちゃんが手術したのはわたしのせいなのに』


 離れたこの席から見てもよくわかる。未来はとっても悲しそうな表情をしていた。
 僕は慌ててメールをし返す。それを送信する頃には再び本を読みはじめていて、届いたのを確認したのか彼女は本を置いて携帯を見た。


  『未来のせいじゃないよ。兄貴だって絶対そう思ってる。 
   これ以上自分を責めないで。もしかしてマンションを出たのはそのせい?』


 未来が困惑顔で僕からのメールを読んでいた。
 そのまま携帯を操作し始め、すぐに未来から返信が来た。


  『マンションを出たのはお母さんがひとりで心配だからだよ』


 その一文だけだった。
 でも未来が気にしてないわけないんだ。兄貴にもそのことをメールしておこう。さっきの僕が送ったメールには返事がない。忙しいのだろうか。
 

  『未来は明日のバイトが終わった後なら大丈夫だって。
   でも兄貴が手術したのは自分のせいなのに行っていいのか気にしてた。
   兄貴はそんなこと思ってない、未来のせいじゃないって言っておいた。
   だけど、兄貴からも連絡してみたら?』


 兄貴から未来のせいじゃないと話すことで彼女の罪悪感が軽減されるならそれでいいと思った。
 そのくらいは嫉妬しないで見守る心積もりでいる。


 僕だって未来のあんな悲しそうな顔を見ていたいわけじゃないから。


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Date:2013/09/15
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Thema:オリジナル小説
Janre:小説・文学

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