空色なキモチ

□ VOICE □

VOICE 105

第105話 愛してる

未来視点




 部屋で課題をやっていると部屋のふすまがノックされた。


「未来ちょっといい? 明日佐藤さんとお会いするんだけど、あなたも一緒にどう?」


 母がお兄ちゃんと会う。それを聞いて、胸がドキリとする。
 だけどそれに気づかないフリをして、大きく首を横に振った。


「そうなの? 明日仕事帰りにお会いするからお母さん帰り遅くなるからね」


 うん、とうなずいて返事をした。
 わたしがお世話になりましたって挨拶に行くのだろう。
 
 本音を言えば、お兄ちゃんに会いたい。だけど会わない方がいいんだと思う。
 悠聖くんの前じゃなくても、もう必要以上にお兄ちゃんと接したり親しくしないと決めたのだから。

 そうだ、悠聖くんに送ってくれたお礼のメールをしておこう。
 

  『今日は送ってくれてありがとう。でもこれからは大丈夫だからまっすぐ帰ってね。
   学校の方に引っ越す予定だから安心して。また明日ね。おやすみなさい』


 早めに言っておかないと悠聖くんは聞き入れてくれないから。
 送信した後、すぐに携帯電話が震えた。悠聖くんからの電話だった。


『わかった。未来の言う通りにするよ』


 挨拶もなく、すぐに彼がそう言った。
 ……よかった。これ以上悠聖くんに迷惑をかけたくなかったから。
 うんうんってうなずいたけど、電話だから見えないんだった。


 ――コン! コン!


 『はい』の意思を伝えるために爪先で携帯の通話口を二回叩く。
 小さく笑う声が携帯の向こうから聞こえてきた。通じたようでよかった。


『未来』


 悠聖くんの声のトーンが下がった気がする。どうしたんだろう?


 ――コン! コン!


『愛してる』

「――――!?」


 いきなり伝えられた愛の告白にビックリしてしまった。
 今まで『好き』とは言われたことがあったけど『愛してる』は初めてだったから。胸がドキドキして苦しい。


『おやすみ、また明日』


 そのまま電話が切れる。返事のノックをする余裕すらなかった。
 ドキドキがおさまらない、どうしよう。今日は眠れないかもしれない。


 でも、心のどこかで違う何かを感じているのはなんでだろう。

 素直によろこべばいいんだよ……ね。


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Date:2013/09/14
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Thema:オリジナル小説
Janre:小説・文学

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