空色なキモチ

□ VOICE □

VOICE 98

第98話 知りたい思い

柊視点




 未来が自殺未遂をしていた。


 運よく悠聖がその場に行かなかったらどうなっていたかその先を想像すると身震いがする。
 未来は俺が実父に刺されて手術をしたことを知っていたのだ。だからメールでしきりに謝ったり急に母親にすべてを話すと言い出したのか。これで辻褄が合った。


 俺が実父に刺されたから、実父の手を借りて自殺しようとした。
 もしかして罪を重くさせようとしたのだろうか。それとも俺が実父に刺されたことを自分のせいだと悔いたのだろうか。あの子のことだ、ありえなくはない。なんにしても死のうとしていたことは、事実。


 俺は何しに実父のところに行ったのかわからなくなった。
 未来を救いたくて行ったはずなのに逆に追い詰めて、生命を失わせるかもしれなかった。結局救ってなんかやれないのか。

 救ってやりたいなんて、ただのエゴなのだろうか。


 未来と悠聖があの家に行った時まで実父はあの場にいた。その後の行方がわからない。
 今、一体どこで何をしているんだろうか。このまま出てこないのならそのままの方がいい。

 そうすれば、弓月親子はふたりで安心して生きていけるんだ。



 未来と話したい。
 なんでそんなことをしたのか、なぜ急に出て行ったのか。何を考えているのか。聞きたいことがたくさんあるんだ。


 俺が入院中、悠聖と何があったのかも知りたい。
 今日の車の中の雰囲気は今までと違っていた。悠聖と何があった? いや、何もなくてもいい。俺がいない間、未来の中で変わったこと、あったこと、感じたことすべて知りたい。ずっと傍にいられたら急に帰ったりすることもなかったのかもしれない。

 俺が実父のところへ行かなければ。

 だけどあんな写真と卑劣な手紙で未来と悠聖を脅す実父が許せなかった。

 あいつがいなければ。
 実父がいなければ未来は苦しむこともなかった。でもあいつがいなかったら俺は生まれていなかったし、未来とも逢えなかった。



 その方が、未来にはよかったのかもしれない。



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Date:2013/09/10
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Thema:オリジナル小説
Janre:小説・文学

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