空色なキモチ

□ VOICE □

VOICE 14

第14話 告白

未来視点




「弓月、あのさ……」


 佐藤くんの口ごもった声が聞こえた。
 少しだけ震えたようなその声が不思議で、視線を合わせると、彼は赤い顔のままだったけど眼鏡の奥の目は真剣だった。とってもきれいな瞳で、その奥を覗き込みたくなるくらい。


“佐藤くん?”


 唇を動かして問いかけると、佐藤くんは一回ギュッと目をつぶった。
 そしてパッと開いた時に見た瞳は更にキラキラとしているように見えてドキドキした。大きな目が忙しなく動く。美少年って佐藤くんのような人のことを言うんだろうな。


「お願いがあるんだけど……」


 急に佐藤くんがそう言ったので、わたしはうなずいた。
 わたしができることならなんでもするよ。佐藤くんには何度も助けられているもの。できることあるなら……。


「僕と、つき合ってくれないか?」


 ――――え?

 わたしの心臓、一瞬だけ止まったんじゃないかって思った。そのくらい驚いた。
 次の瞬間、すぐ拍動しはじめたようにドキドキが加速してゆく。息苦しいくらいだった。


 ビックリして言葉が出ない。聞き間違い、じゃないよね? 
 佐藤くんの顔は真剣そのもの。つき合うって、どういうこと?

 携帯に文字を入れようとすると、佐藤くんの手がそれを覆った。


「唇を読むから……今は文字の言葉じゃなくて、唇での言葉が聞きたい」


 恐る恐る佐藤くんを見上げると、真剣な眼差しでわたしを見つめていた。
 わたしの左手ごと握る彼の右手の力が少しだけ強まる。それがとっても熱く感じて、そこからの熱が全身に回っているような気がした。頬もたぶん今、真っ赤になってるはず。恥ずかしい。

 だけどとってもうれしい気持ちがあふれ出すようだった。

 小さく息を吸い込んで、吐く。そして、ゆっくりとわかりやすいように唇を動かした。


“わたしで……いいの?”


 佐藤くんの目が大きく見開かれる。
 少し前までの強張った表情が、優しくほぐれていくように見えた。


「弓月がいい」


 男子からも女子からも人気のある佐藤くんにこんなことを言われるなんて夢にも思わなかった。
 頬の辺りがじんわりと火照っているみたい。恥ずかしい、でもすごくうれしくて。


“ありがとう”

「いい……の?」


 少し上ずった声の佐藤くんの問いに、わたしは俯いてうなずいた。



**



 その日は佐藤くんがY図書館まで送ってくれた。
 一緒に帰ろうと誘われたんだけど、バイトだと伝えたら送っていくと言ってくれたから。

 歩きながら、佐藤くんはたくさん話をしてくれた。
 好きな漫画の話や食べ物のこととか。わたしが答えやすいような問いかけをしてくれるから、うなずきや首を振ることで楽しく会話することができたの。


「あまり無理しないようにね。そうだ。携帯のナンバーとアドレス教えて」


 佐藤くんが自分のブレザーから携帯電話を取り出してわたしに向けたそれは同じ携帯会社のものだった。
 アドレスとナンバー交換をすると、うれしそうに笑うから、つられてこっちも笑ってしまった。


 わたしの携帯のアドレス帳に初めて男の子の名前が入った。



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Date:2013/07/30
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Thema:オリジナル小説
Janre:小説・文学

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